ドイツ・ADL社は、1992年に設立されたスパッタ用電源メーカーです。
特に、そのバイポーラパルスドDC電源は、ロータリーカソードでのリアクティブプロセスとの相性が良く、ヨーロッパ及びアジアにおいて、広く利用されております。
また異常放電の自動制御に高い技術を誇っており、ユーザーサイドでアーク制御のプログラミングを行う必要が全くありません。
出力、3kWから280kWまでをカバーするバラエティーに富んだ電源を取り扱っております。半導体用から建築用スパッタ装置まで、様々なアプリケーションで利用されています。
ご興味頂けましたらお気軽にお問い合わせ頂けましたら幸いです。(レンタル応相談)
ADL 電源カタログ
●特徴
1) アーク制御が、完全自動 (註A、註C、註D)
2) パワーモード、電圧モード、電流モードを選択可能
3) 筐体サイズが従来製品の約半分 (例:HXシリーズで幅218㎜)
4) パワーロスが5%以下
5) 電圧波形が矩形となるパルス (電圧固定パルス)(註B)
6) イグニッション電圧が低い
7) アーク制御速度が速い(註C)
註A:従来電源の多くは、プロセスガス種、ガス圧、基板搬送速度、基板種等、プロセスを変更した際、電源のアーク制御設定も最適化・再調整する必要がありますが、ADL社製電源の場合は、その必要がありません。
註B:従来型電源は、一定電流(電流固定)でパルスを作る手法であるのに対し、ADL社電源は、世界で唯一、一定電圧(電圧固定)でパルスを作る手法です。それにより、プロセス中の電圧変動を防ぎ、突発的な電圧サチレーションによる基板ダメージを防ぐことができます。
註C:従来電源の多くは、電流を一定化させた上で、電圧の異常上昇を監視し、瞬間的に電源を停止させます。一方、ADL社のアーク制御は、電圧を一定化させた上で、電流の異常上昇を監視し、瞬間的に電源を停止させます。
註D:従来電源の多くは、アーク制御のパラメーターをワーストケースを想定して設定します。その為、微小な異常放電でも、大きな異常放電でも、毎回、既定の停止時間で制御します。
一方、ADL社のアーク制御は、独自のアルゴリズムにより、各ユーザーのプロセス並びに電流上昇の異常レベルに合わせて、自動で停止時間を変化並びに最小化させます。
その結果、パワーロスを最小化させると同時に従来手法よりプロセスのふらつきを抑制します。
DC 電源 (HX 300/800) |
パルス DC (HX 300/800 + SD 300) |
バイポーラパルスDC (HX 300/800 + SB 300) |
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測定条件 – 設定モード – 出力パワー – 出力電圧 – 出力インダクタンス Lout |
Powerモード 10 kW 450 V 以下 2 μH 以下 |
Powerモード 10 kW 450 V 以下 2 μH 以下 |
Powerモード 10 kW 560 V 以下 2 μH 以下 |
反応時間 | 0 μs | 1.5 μs 以内 | 1 μs 以内 |
クエンチング時間 | 7 μs | 5 μs 以内 | 0.5 から1.5 μs 以内 |
休止時間 | 0 μs (休止無し) | 12.5 μs 以内 | 0 から22.5 μs 以内 |
アーク制御手法 | 共振回路による逆電流 | カソードへの電流をほぼゼロになるまで絞り、小休止 | 回路を開放したまま、新たなパルスで再開 |
アークエネルギー | 2.5 mJ/kW 以下 | 0.25 mJ/kW 以下 | 0.15 mJ/kW 以下 |
最大出力 インダクタンス |
最大10 μH (ケーブル)+カソード | 最大10 μH (ケーブル)+ カソード | 最大10 μH (ケーブル)+カソード |
最多アーク処理能力 (アーク数/秒) |
40,000 (clamp diode無し) 80,000 (clamp diode有り) |
50,000 | 40,000 |
ADL 電源 アーク制御資料
●従来型バイポーラ(ユニポーラ―)パルス DCとの比較
従来機 | ADL最新機種 | |
---|---|---|
イグニッション電圧 | 1600V-2000V | 500-1000V |
電圧波形(パルス) | 電圧ピーク後ぶらんこ状に降下 | 矩形(一定電圧) |
電流波形(パルス) | ノイズあり矩形 | ぶらんこ状に上昇 |
アーク発生個所 | 波形前半0度から180度 | 波形後半180度から360度 |
デュアルカソード間パワー差 | 大きい | 少ない(左右間調整可能) |
過電圧ストレス | 大きい(ピーク時) | 無し(矩形の為) |
サイズ指数 | 100 | 50 |
パルスジェネレーター | 一体型 | 分離型 |
オペレーションモード | コンスタントパワー コンスタント電圧 |
コンスタントパワー コンスタント電圧 コンスタント電流 |
パワーロス | 8%以上 | 5%以下 |
アーク制御パラメーター | 手動設定要 | 完全自動 |
冷却方式 | 空冷 | 水冷 |
●従来型ストレートDCとの比較
従来機 | ADL最新機種 | |
---|---|---|
イグニッション電圧 | 1000V-1600V | 500-1000V |
アーク処理能力 | 標準2,000アーク/秒 最大8,000アーク/秒 |
標準40,000アーク/秒 最大80,000アーク/秒 |
プレスパッタ | 低速 | 高速 |
アーク制御パラメーター | 手動設定要 | 完全自動 |
パルスジェネレータ接続 | 不可 | 可 |
入力電源 | 三相、400-480V | 三相、400、440V、480V |
冷却方式 | 空冷 | 水冷 |
パワーロス | 8%以上 | 5%以下 |
サイズ指数 | 100 | 50 |
オペレーションモード | コンスタントパワー コンスタント電圧 |
コンスタントパワー コンスタント電圧 コンスタント電流 |
ADL 会社案内(英語)
ADL 電源アクセサリーカタログ
ADL: バイポーラパルスドDC電源
パワー固定モードでのメタルスパッタからリアクティブスパッタへの様子
ADL: バイポーラパルスドDC電源
電圧固定モードでのメタルスパッタからリアクティブスパッタへの様子
ADL: バイポーラパルスドDC電源 リアクティブプロセス 電圧固定モード
一定の酸素供給量で基板位置による出力(P)の自動調整
ADL: バイポーラパルスドDC電源 リアクティブプロセス 電圧固定モード
基板位置による酸素供給量の自動調整で、安定した出力値(P)